テレビ朝日の「朝まで生テレビ」。私はあまり好きではないのですが、先週のテーマが「激論!“新しい貧困”とニッポン」で、パネリストとして雨宮処凛さん、首都圏青年ユニオンの河添誠さん、反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんらが出るというので見てみました。
この番組、討論会というより見本市みたい。声の大きい常連パネリストの「私はこんなに賢いぞー」といった自己宣伝が目立ち、相手に耳を傾け、じっくり考え、答える人が損をする感じ。
河添さんや湯浅さんが悲惨なワーキングプアの現場を報告しているのに、「新自由主義がいいか、社会民主主義がいいか」みたいな話をしたり、「郵政民営化の是非」について口角泡飛ばしたり。
現場を知らない人は抽象論に走ってしまうのでしょう。それは致し方ないとしても、湯浅さんが自民党の世耕弘成さんに「日本経済がどこまで成長すれば、政府は貧困層への支援をするのか」と問うたのに対して、世耕さんが「(貧困層も)スキルを磨かなくてはならない」といった類の発言をしたときは、さすがに驚きました。
彼は企業家ではなく、政治家です。政治家の重要な仕事は税収をどう配分するかを決めること。それに答えないのは、職務の放棄ではないか。
貧困層への支出を増やすよりも、経済成長のため法人税を下げる方が大事--とでも言った方が、少なくとも政治家としては誠実な態度だったと思います。
現場にいる人の誠実さと、机上の理論で商売する人の立ち回りのうまさ。そんな対比を見せられた気分でした。
ところで、田原さんも一度、司会者ではなく、パネリストとして参加したらどうでしょう? 一度、討論の当事者になると、その後の司会ぶりが変わってくると思うのですが。
この番組、討論会というより見本市みたい。声の大きい常連パネリストの「私はこんなに賢いぞー」といった自己宣伝が目立ち、相手に耳を傾け、じっくり考え、答える人が損をする感じ。
河添さんや湯浅さんが悲惨なワーキングプアの現場を報告しているのに、「新自由主義がいいか、社会民主主義がいいか」みたいな話をしたり、「郵政民営化の是非」について口角泡飛ばしたり。
現場を知らない人は抽象論に走ってしまうのでしょう。それは致し方ないとしても、湯浅さんが自民党の世耕弘成さんに「日本経済がどこまで成長すれば、政府は貧困層への支援をするのか」と問うたのに対して、世耕さんが「(貧困層も)スキルを磨かなくてはならない」といった類の発言をしたときは、さすがに驚きました。
彼は企業家ではなく、政治家です。政治家の重要な仕事は税収をどう配分するかを決めること。それに答えないのは、職務の放棄ではないか。
貧困層への支出を増やすよりも、経済成長のため法人税を下げる方が大事--とでも言った方が、少なくとも政治家としては誠実な態度だったと思います。
現場にいる人の誠実さと、机上の理論で商売する人の立ち回りのうまさ。そんな対比を見せられた気分でした。
ところで、田原さんも一度、司会者ではなく、パネリストとして参加したらどうでしょう? 一度、討論の当事者になると、その後の司会ぶりが変わってくると思うのですが。
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一時期、信用金庫の職員を目指したことがあります。理由は単純で恥ずかしいのですが、あるテレビ番組がきっかけでした。
日本テレビ系で日曜日の深夜に放映されている「ドキュメント」。普段のニュース番組では報道されることのない、日のあたらないテーマを取り上げる、とても良質な長寿番組で、2年前に「ドブ板信金マンと女社長」というドキュメンタリーが放映されました。東京三協信用金庫の保谷支店長と、先代が亡くなり、商売が傾きかけてきたカステラ屋さんの経営を引き継いだ三女の話です。
おっとりして、人はいいのだけれど、経営感覚と危機意識に欠ける女社長に、支店長はときに厳しい言葉を投げつけます。番組では、女社長が涙ぐむ場面もありますが、それもこれも「地元の零細企業を何とか立ち直らせたい」という支店長の熱意から。彼の地域で生きる会社への思いがひしひしと伝わってきます。
高級スーツに身を包んだエリート社員が、巨大なスクリーンを前に企業再生のプレゼンをするといったのとは違い、その支店長は、ちょっとくたびれたスーツで、靴底を減らしながら、カステラ屋さんに通いつめる。
やがて、女社長は、いままで出向いたこともなかった取引先を回り、ニーズを探って、新しい商品の開発を始めました。一方、彼女のがんばりを見た支店長は、今度は本社で、カステラ屋さんへの融資を承諾させるべく上司を説得します。
金融の仕事って、こういうものなのではないか。本来は経済社会の縁の下の力持ちであるべきなのに、なぜか前面に躍り出て、デリバティブと称する複雑な金融商品を開発したり、あげくは詐欺的なサブプライムローンで負債の山を築いたりする。
銀行は、晴れているときに傘を差し出して、雨が降ったときに返せという——こう言ったのは、日本でバブルがはじけた後、銀行から厳しい取り立てにあった多く中小企業の経営者の言葉でした。
東京都議会が新銀行東京に400億円の増資を決めたというニュースを聞いて、「ドブ板信金マンと女社長」を思い出しました。中小企業支援のため、石原知事の肝いりで設立されたこの銀行。はたして行員は経営者を叱咤激励しながら、融資を決めてきたのでしょうか。
旧経営陣がすべて悪かったという石原知事の口ぶりや、自分たちに責任はないといわんばかりの都の調査報告を聞く限り、融資先と腹を割って一生懸命話し合う銀行マンの姿が思い浮かばないのです。
彼らは顧客であるはずの会社よりも、知事を始めとする上の人間の顔色を見て、仕事をしていたのではないか。
ちなみに東京都は、低所得世帯の児童が受験のために通う学習塾の費用を、無利子で貸し付ける制度を始めるそうです。これも何だか倒錯した話に聞こえます。本来、都の仕事は公立の小中学校を充実させ、塾に行かなくても済むよう、いい先生を増やすことにあるはずなのに。
塾産業がロビー活動でもしてんのか? と勘ぐりたくなるようなこの制度。そもそも、こんな風に貸したお金って、きちんと返ってくるのでしょうか。
これまた回収不能となったら、誰が責任とるのか。都民は忘れないでおきましょう。
日本テレビ系で日曜日の深夜に放映されている「ドキュメント」。普段のニュース番組では報道されることのない、日のあたらないテーマを取り上げる、とても良質な長寿番組で、2年前に「ドブ板信金マンと女社長」というドキュメンタリーが放映されました。東京三協信用金庫の保谷支店長と、先代が亡くなり、商売が傾きかけてきたカステラ屋さんの経営を引き継いだ三女の話です。
おっとりして、人はいいのだけれど、経営感覚と危機意識に欠ける女社長に、支店長はときに厳しい言葉を投げつけます。番組では、女社長が涙ぐむ場面もありますが、それもこれも「地元の零細企業を何とか立ち直らせたい」という支店長の熱意から。彼の地域で生きる会社への思いがひしひしと伝わってきます。
高級スーツに身を包んだエリート社員が、巨大なスクリーンを前に企業再生のプレゼンをするといったのとは違い、その支店長は、ちょっとくたびれたスーツで、靴底を減らしながら、カステラ屋さんに通いつめる。
やがて、女社長は、いままで出向いたこともなかった取引先を回り、ニーズを探って、新しい商品の開発を始めました。一方、彼女のがんばりを見た支店長は、今度は本社で、カステラ屋さんへの融資を承諾させるべく上司を説得します。
金融の仕事って、こういうものなのではないか。本来は経済社会の縁の下の力持ちであるべきなのに、なぜか前面に躍り出て、デリバティブと称する複雑な金融商品を開発したり、あげくは詐欺的なサブプライムローンで負債の山を築いたりする。
銀行は、晴れているときに傘を差し出して、雨が降ったときに返せという——こう言ったのは、日本でバブルがはじけた後、銀行から厳しい取り立てにあった多く中小企業の経営者の言葉でした。
東京都議会が新銀行東京に400億円の増資を決めたというニュースを聞いて、「ドブ板信金マンと女社長」を思い出しました。中小企業支援のため、石原知事の肝いりで設立されたこの銀行。はたして行員は経営者を叱咤激励しながら、融資を決めてきたのでしょうか。
旧経営陣がすべて悪かったという石原知事の口ぶりや、自分たちに責任はないといわんばかりの都の調査報告を聞く限り、融資先と腹を割って一生懸命話し合う銀行マンの姿が思い浮かばないのです。
彼らは顧客であるはずの会社よりも、知事を始めとする上の人間の顔色を見て、仕事をしていたのではないか。
ちなみに東京都は、低所得世帯の児童が受験のために通う学習塾の費用を、無利子で貸し付ける制度を始めるそうです。これも何だか倒錯した話に聞こえます。本来、都の仕事は公立の小中学校を充実させ、塾に行かなくても済むよう、いい先生を増やすことにあるはずなのに。
塾産業がロビー活動でもしてんのか? と勘ぐりたくなるようなこの制度。そもそも、こんな風に貸したお金って、きちんと返ってくるのでしょうか。
これまた回収不能となったら、誰が責任とるのか。都民は忘れないでおきましょう。
先日、川内康範氏が亡くなりました。享年88才。
「月光仮面」の原作をはじめ、数え切れない映画やテレビドラマの脚本、作詞、さらには評論と、活字の世界を縦横無尽に動いた人でした。
歌では「君こそわが命」(水原弘)、「伊勢佐木町ブルース」(青江三奈)、「おふくろさん」(森進一)などが有名ですが、私には「愛の戦士レインボーマン」の原作者というイメージが強い。
インドの山奥で 修行して♪
というテーマソングで、1972年に放映が開始されたヒーローもののテレビ番組です。が、全体的に雰囲気は暗く、話は重いし深刻で、子供の私にはちょっとしんどかった。悪役は「死ね死ね団」という「日本と日本人を抹殺すること」を目的にした秘密結社、民族間の殺し合いみたいなシーンもありました。
その暗さの意味がわかったのは大人になってからです。川内氏が日蓮宗のお寺に生れたこと、戦後の抑留日本人の帰国支援や戦没者の遺骨をもちかえる運動に関わっていたこと、戦争責任について真剣に考えていたことなどを知りました。
川内氏は政財界にも顔が広く、竹下首相のブレーンをやったりした後、「姓はアメリカ、名は国連」という奇書(?)を書いています。湾岸戦争時、多国籍軍の中心となったアメリカ、そのアメリカにイラク攻撃のお墨付きを与えた国連、そして戦争に気前よく金を出した日本を痛烈に批判したものです。ちなみに彼には「日本は不戦の憲法を犯すな 昭和天皇の御遺志を護持せよ」いうエッセイもあります。ついでにいえば「恐妻党総裁に栄光あれ」という映画の脚本も書いています(これ、私は未見ですが)。
晩年、川内氏は、森進一が「おふくろさん」の初めに語りを入れたことに怒って、「森には“おふくろさん”を歌わせない」と言っていたそうですが、氏の訃報を聞いたとき、私には「レインボーマン」の2番のフレーズが思い出されました。
人間だれでも みな同じ 肌や言葉の違いを除きゃ♪
破天荒で、規格外の人生を送った人だと思います。合掌。
「月光仮面」の原作をはじめ、数え切れない映画やテレビドラマの脚本、作詞、さらには評論と、活字の世界を縦横無尽に動いた人でした。
歌では「君こそわが命」(水原弘)、「伊勢佐木町ブルース」(青江三奈)、「おふくろさん」(森進一)などが有名ですが、私には「愛の戦士レインボーマン」の原作者というイメージが強い。
インドの山奥で 修行して♪
というテーマソングで、1972年に放映が開始されたヒーローもののテレビ番組です。が、全体的に雰囲気は暗く、話は重いし深刻で、子供の私にはちょっとしんどかった。悪役は「死ね死ね団」という「日本と日本人を抹殺すること」を目的にした秘密結社、民族間の殺し合いみたいなシーンもありました。
その暗さの意味がわかったのは大人になってからです。川内氏が日蓮宗のお寺に生れたこと、戦後の抑留日本人の帰国支援や戦没者の遺骨をもちかえる運動に関わっていたこと、戦争責任について真剣に考えていたことなどを知りました。
川内氏は政財界にも顔が広く、竹下首相のブレーンをやったりした後、「姓はアメリカ、名は国連」という奇書(?)を書いています。湾岸戦争時、多国籍軍の中心となったアメリカ、そのアメリカにイラク攻撃のお墨付きを与えた国連、そして戦争に気前よく金を出した日本を痛烈に批判したものです。ちなみに彼には「日本は不戦の憲法を犯すな 昭和天皇の御遺志を護持せよ」いうエッセイもあります。ついでにいえば「恐妻党総裁に栄光あれ」という映画の脚本も書いています(これ、私は未見ですが)。
晩年、川内氏は、森進一が「おふくろさん」の初めに語りを入れたことに怒って、「森には“おふくろさん”を歌わせない」と言っていたそうですが、氏の訃報を聞いたとき、私には「レインボーマン」の2番のフレーズが思い出されました。
人間だれでも みな同じ 肌や言葉の違いを除きゃ♪
破天荒で、規格外の人生を送った人だと思います。合掌。
10年以上前ですが、中国・内蒙古自治区の満州里、新疆ウイグル自治区のウルムチに行ったことがあります。
満州里の中心部から自動車で15分も走れば、見渡す限りの大平原。大陸に吹く初夏の風に身を任せて、はるか遠くの緑濃い丘陵に目を向けると、ところどころに白いパオが点在していました。パオとは隣国に住む同じモンゴル族が使うテント式移動住宅です。
ウルムチは建設ラッシュでした。町中に響く槌音は、改革開放経済が進む中国各地で聞かれるものでしたが、北京や上海と違うのは、町の商店の看板がウイグル文字と略式漢字の併記になっていること。町を歩くウイグル人の顔立ちは彫が深く、漢民族とはまったく違う印象です。
対ロシア国境貿易に沸く満州里には漢民族の商人が大量に流入しており、モンゴル族の比率がどんどん小さくなっている。ウルムチも同様だが、ここではそれに反発するウイグル人のテロが起こっており、中国政府が警戒の目を光らせている。
現地でそんな話を聞いて、はたして、様々な言葉、宗教、生活習慣をもった十数億人の民を抱えた中国が、いまの体制のままやっていけるのだろうか? と疑問をもったことを、チベット問題で揺れる中国のニュースを聞いて思い出していました。
今年夏の北京五輪を前に、世界の中国に対する目はますます厳しくなっています。しかし、中国は外国の批判に容易に耳を貸しそうにありません。
ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議した西側各国が1980年のモスクワ五輪参加をボイコットしても、ソ連は侵攻をやめませんでした。ソ連軍がアフガニスタンから撤退したのは、それから8年後です。長期化した戦争によって国民の厭戦気分が広がり、国内経済が疲弊してしまったあげくの決定でした。
イラクに戦争をしかけたアメリカしかり。大国が外国に文句を言われて、路線を変更した例は歴史上、ほとんどありません。ましてや中国は「面子」にこだわる国柄。ダライ・ラマも言っていたように、中国に「五輪開催国に相応しい振る舞いをせよ」と言い続けるしかないのではないか(ちなみにマガ9編集部には、来日中のダライ・ラマ14世に、ランニングと短パン姿で「ダライ・ラマさんは日本国憲法9条についてどう思いますか?」と問うて、チベットの法王をうならせたツワモノがいます)。
面子をつぶさないよう、なだめ、おだて、すかしながら、チベットの人々にはエールを送って、彼らに国際社会から孤立していないことを知らしめる。かなり面倒くさいですが、大国の国民ではない私たちは、長期戦を覚悟して中国と向き合わなくてはならないと思います。
たとえば、かつての西ドイツは、1970年代以降、ヨーロッパの安全保障のために核大国ソ連と粘り強い対話を続けました。そうした長年の努力が、現在のヨーロッパの基盤をつくったといえます。
いかに中国と付き合っていくか――これは21世紀の日本とアジアにとってとても重要な課題だと思うのです。
満州里の中心部から自動車で15分も走れば、見渡す限りの大平原。大陸に吹く初夏の風に身を任せて、はるか遠くの緑濃い丘陵に目を向けると、ところどころに白いパオが点在していました。パオとは隣国に住む同じモンゴル族が使うテント式移動住宅です。
ウルムチは建設ラッシュでした。町中に響く槌音は、改革開放経済が進む中国各地で聞かれるものでしたが、北京や上海と違うのは、町の商店の看板がウイグル文字と略式漢字の併記になっていること。町を歩くウイグル人の顔立ちは彫が深く、漢民族とはまったく違う印象です。
対ロシア国境貿易に沸く満州里には漢民族の商人が大量に流入しており、モンゴル族の比率がどんどん小さくなっている。ウルムチも同様だが、ここではそれに反発するウイグル人のテロが起こっており、中国政府が警戒の目を光らせている。
現地でそんな話を聞いて、はたして、様々な言葉、宗教、生活習慣をもった十数億人の民を抱えた中国が、いまの体制のままやっていけるのだろうか? と疑問をもったことを、チベット問題で揺れる中国のニュースを聞いて思い出していました。
今年夏の北京五輪を前に、世界の中国に対する目はますます厳しくなっています。しかし、中国は外国の批判に容易に耳を貸しそうにありません。
ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議した西側各国が1980年のモスクワ五輪参加をボイコットしても、ソ連は侵攻をやめませんでした。ソ連軍がアフガニスタンから撤退したのは、それから8年後です。長期化した戦争によって国民の厭戦気分が広がり、国内経済が疲弊してしまったあげくの決定でした。
イラクに戦争をしかけたアメリカしかり。大国が外国に文句を言われて、路線を変更した例は歴史上、ほとんどありません。ましてや中国は「面子」にこだわる国柄。ダライ・ラマも言っていたように、中国に「五輪開催国に相応しい振る舞いをせよ」と言い続けるしかないのではないか(ちなみにマガ9編集部には、来日中のダライ・ラマ14世に、ランニングと短パン姿で「ダライ・ラマさんは日本国憲法9条についてどう思いますか?」と問うて、チベットの法王をうならせたツワモノがいます)。
面子をつぶさないよう、なだめ、おだて、すかしながら、チベットの人々にはエールを送って、彼らに国際社会から孤立していないことを知らしめる。かなり面倒くさいですが、大国の国民ではない私たちは、長期戦を覚悟して中国と向き合わなくてはならないと思います。
たとえば、かつての西ドイツは、1970年代以降、ヨーロッパの安全保障のために核大国ソ連と粘り強い対話を続けました。そうした長年の努力が、現在のヨーロッパの基盤をつくったといえます。
いかに中国と付き合っていくか――これは21世紀の日本とアジアにとってとても重要な課題だと思うのです。
一昨日のワールドカップ予選、残念ながら日本はバーレーンに敗れてしまいましたが、私は、子供が地元のサッカークラブに入っていることもあって、週末に彼らの練習試合を見に行くことがあります。
年長組や一年生チームの試合となると、子供たちよりも親の方がハッスルしてしまい、やれ「シュート打てー」だの、「パス回せッ」だの、「早く下がれ」だの、もう言いたい放題。
わが子がユニホームを着て、ボールを追う。それを見たときの格別のうれしさはわかります。が、私は、声援は送っても、サポーターみたいには叫べません。かつて保護者同士のミニゲームに出て、3分と経たないうちに息が上がり、足がもつれるという惨状を経験したから、偉そうなことは言えないのです。
でも、初めはコーフン気味の親も1年も経つと、テンションは下がり、観に来る人も減っていきます。ましてや3年生くらいの試合になれば、ほとんどいない。すると、グラウンド(たいてい小学校の校庭を使います)では、子供たちの声、ボールを蹴る音、そしてコーチの的確な指示と、耳に聞こえるものはシンプルになっていく。
それらを聞きながら、グラウンドの縁に座ってサッカーを見ていると、とても穏やかな気持ちになるのです。
そして何より面白い。子供たちは本当にうまくなっていく。自分の子供だけでなく、「○○君、今日はよく走るなあ」とか、「女の子だけど、○○ちゃん、積極的だなあ」とか、「○○君、目立たないけど、しっかり守ってる、えらいなあ」などと心のなかで思いながら。
平和をイメージするとしたら、いまの私には、こんな週末の午前のひとときが浮かんできます。
スポーツって、プロやオリンピックじゃなくても、観ていて、楽しい。
小学校の運動会で障害をもった生徒が先生と手をつないで徒競走に参加する、太った子がビリでも一生懸命ゴール目指して走る、そんな姿を見ると目頭が熱くなり、思わず声が出てしまいます。
がんばれーッ!
と見るばかりでなく、桜も咲き始めたことだし、しばらくサボっていたジョギングをそろそろ再開しよう。
年長組や一年生チームの試合となると、子供たちよりも親の方がハッスルしてしまい、やれ「シュート打てー」だの、「パス回せッ」だの、「早く下がれ」だの、もう言いたい放題。
わが子がユニホームを着て、ボールを追う。それを見たときの格別のうれしさはわかります。が、私は、声援は送っても、サポーターみたいには叫べません。かつて保護者同士のミニゲームに出て、3分と経たないうちに息が上がり、足がもつれるという惨状を経験したから、偉そうなことは言えないのです。
でも、初めはコーフン気味の親も1年も経つと、テンションは下がり、観に来る人も減っていきます。ましてや3年生くらいの試合になれば、ほとんどいない。すると、グラウンド(たいてい小学校の校庭を使います)では、子供たちの声、ボールを蹴る音、そしてコーチの的確な指示と、耳に聞こえるものはシンプルになっていく。
それらを聞きながら、グラウンドの縁に座ってサッカーを見ていると、とても穏やかな気持ちになるのです。
そして何より面白い。子供たちは本当にうまくなっていく。自分の子供だけでなく、「○○君、今日はよく走るなあ」とか、「女の子だけど、○○ちゃん、積極的だなあ」とか、「○○君、目立たないけど、しっかり守ってる、えらいなあ」などと心のなかで思いながら。
平和をイメージするとしたら、いまの私には、こんな週末の午前のひとときが浮かんできます。
スポーツって、プロやオリンピックじゃなくても、観ていて、楽しい。
小学校の運動会で障害をもった生徒が先生と手をつないで徒競走に参加する、太った子がビリでも一生懸命ゴール目指して走る、そんな姿を見ると目頭が熱くなり、思わず声が出てしまいます。
がんばれーッ!
と見るばかりでなく、桜も咲き始めたことだし、しばらくサボっていたジョギングをそろそろ再開しよう。
3月初旬、出張先のロシアで、同行した日本人からドルを借り、帰国したら円で返す約束をしました。
そのときのレートは1ドル=109円。ところが、3月18日時点で1ドル=97円。
「これで返す金額が減った!」と喜ぶわけには、さすがにいきません。
本来、返済能力のない人たちに住宅購入資金を貸しまくったサブプライムローンのツケが、ドルの下落になって現れたのでしょう。
ロシアの通貨、ルーブルも強くなっています。原油高が続くおかげで、産油国ロシアの景気は好調ですが、ロシアに豊かさをもたらした原油価格が、テキサスで取引されているそれのわずかな需要量で決められてしまう不思議。
地下資源だけでなく、小麦やとうもろこし、そして私たち日本人には欠くことのできない大豆までが、投機の対象になって、価格が釣り上がり、4月には食料品のさらなる大幅な値上げが待っています。
アメリカがイラクに戦争を仕掛けて5年。この間、あまりに金融と軍事に偏重したアメリカ経済ががたつき、中東やロシアの資源大国がどんどん力をつけるという世界の地殻変動が、じわじわと私たちの日常生活に影響を及ぼし、否が応でも世の中の動きに無関心ではいられなくなりました。
そのときのレートは1ドル=109円。ところが、3月18日時点で1ドル=97円。
「これで返す金額が減った!」と喜ぶわけには、さすがにいきません。
本来、返済能力のない人たちに住宅購入資金を貸しまくったサブプライムローンのツケが、ドルの下落になって現れたのでしょう。
ロシアの通貨、ルーブルも強くなっています。原油高が続くおかげで、産油国ロシアの景気は好調ですが、ロシアに豊かさをもたらした原油価格が、テキサスで取引されているそれのわずかな需要量で決められてしまう不思議。
地下資源だけでなく、小麦やとうもろこし、そして私たち日本人には欠くことのできない大豆までが、投機の対象になって、価格が釣り上がり、4月には食料品のさらなる大幅な値上げが待っています。
アメリカがイラクに戦争を仕掛けて5年。この間、あまりに金融と軍事に偏重したアメリカ経済ががたつき、中東やロシアの資源大国がどんどん力をつけるという世界の地殻変動が、じわじわと私たちの日常生活に影響を及ぼし、否が応でも世の中の動きに無関心ではいられなくなりました。
ベルリン自由大学で政治学を専攻しているデニス君とメールのやりとりをしていました。ドイツの州議会の緑の党/連合90(ドイツ統一後、旧西ドイツの「緑の党」と旧東ドイツの民主化運動の流れをくむ「連合90」が合併)議員団でのインターンシップの経験もある彼に、緑の党について聞いたのがきっかけです。
環境はとても大切なテーマだけど、ここ数年、ドイツの政党がどこも環境政策を重視しているなか、緑の党の存在意義は弱まっているのではないか。
そんな疑問を投げかけると、彼からはこんな答えが返ってきました。緑の党は環境保護を訴えるだけでなく、人種差別や偏見から解放された社会を目指しているのだと。
緑の党は男女間の格差や外国人差別、同性愛者に対する蔑視といった問題に敏感です。
そういう意味で、緑の党やその支持者たちの日本に対する目は厳しい。彼(女)らには、日本が先進国のなかでは、とくにマイノリティが生きづらい国に見えるからでしょう。
ちなみにデニス君の住むベルリンの市長、ドイツ社会民主党のクラウス・ヴォーヴェライト氏は2001年の市長選挙を前に、自分がゲイであることをカミングアウトしました。
それがマイナスにならないのが、この町のいいところ。いろんな人がいてOKという町は、よそ者にとっても住みやすい。
緑の党は「社会のマイノリティの利益を代表する」政党だとデニス君はいいました。といっても、同党が政界で少数派に甘んじているわけではありません。1998年から2005年までドイツ社会民主党と連立政権を組み、政権担当能力のあることは証明済みです。
ところでわが国の政党は、「国民のため」という言葉が多すぎると思いませんか?
道路財源についても、日銀総裁の選出についても、国民のためになるとかならないとか。外交ならまだしも、内政問題には、そこで得する人と損する人が必ずいるはず。政党はそのどの層の利益を代表しているのか明らかにすべきだと思うのです。
国会空転の原因は、衆参ねじれ現象のせいではなく、きちんとした対立軸を示さない政党間の議論に原因があるのではないでしょうか。
環境はとても大切なテーマだけど、ここ数年、ドイツの政党がどこも環境政策を重視しているなか、緑の党の存在意義は弱まっているのではないか。
そんな疑問を投げかけると、彼からはこんな答えが返ってきました。緑の党は環境保護を訴えるだけでなく、人種差別や偏見から解放された社会を目指しているのだと。
緑の党は男女間の格差や外国人差別、同性愛者に対する蔑視といった問題に敏感です。
そういう意味で、緑の党やその支持者たちの日本に対する目は厳しい。彼(女)らには、日本が先進国のなかでは、とくにマイノリティが生きづらい国に見えるからでしょう。
ちなみにデニス君の住むベルリンの市長、ドイツ社会民主党のクラウス・ヴォーヴェライト氏は2001年の市長選挙を前に、自分がゲイであることをカミングアウトしました。
それがマイナスにならないのが、この町のいいところ。いろんな人がいてOKという町は、よそ者にとっても住みやすい。
緑の党は「社会のマイノリティの利益を代表する」政党だとデニス君はいいました。といっても、同党が政界で少数派に甘んじているわけではありません。1998年から2005年までドイツ社会民主党と連立政権を組み、政権担当能力のあることは証明済みです。
ところでわが国の政党は、「国民のため」という言葉が多すぎると思いませんか?
道路財源についても、日銀総裁の選出についても、国民のためになるとかならないとか。外交ならまだしも、内政問題には、そこで得する人と損する人が必ずいるはず。政党はそのどの層の利益を代表しているのか明らかにすべきだと思うのです。
国会空転の原因は、衆参ねじれ現象のせいではなく、きちんとした対立軸を示さない政党間の議論に原因があるのではないでしょうか。
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●スタッフ紹介・・・・
水島さつき)
編集作業と事務局の仕事、それから週一のメルマガ担当。時々、「この人に聞きたい」インタビューや対談、ルポなどもやってます。年齢は秘密です。趣味は、猫を可愛がること。
コルヴィッツ)
「世界から見た今のニッポン」へのコラムを集めるべく、友人知人関係を越えて、ネットの海を遊泳しています。気分転換にやるのは、深夜にロックをヘッドフォンで聴いて踊ること(もちろん誰も見てないところで)。
想起来)
(シャンチーライと読んでください。中国語で「思いつく」)「マガジン9条」創刊以来の関わりですが、今は特に担当はありません。関心があるのは、肩こり、眼精疲労、腰痛をどう治すか。北京五輪に行くかどうか、迷ってます。好きな食べ物は、りんごとおせんべい。
アンドレ)
2m近い身長に120キロの体重をもち、どこからどう見ても体育会系、が、まったく運動をしたことがないオタク中年サラリーマン35歳。埼玉県在住。マガ9のアクセス向上主任。好みのタイプは音無響子。
図案チーム)
デザイン、イラストを担当の4人チーム。マガ9のページデザインには、読みやすさ、明るさ、ばかばかしさ、正直さ、テキトーさを心がけています。
●スタッフ紹介・・・・
水島さつき)
編集作業と事務局の仕事、それから週一のメルマガ担当。時々、「この人に聞きたい」インタビューや対談、ルポなどもやってます。年齢は秘密です。趣味は、猫を可愛がること。
コルヴィッツ)
「世界から見た今のニッポン」へのコラムを集めるべく、友人知人関係を越えて、ネットの海を遊泳しています。気分転換にやるのは、深夜にロックをヘッドフォンで聴いて踊ること(もちろん誰も見てないところで)。
想起来)
(シャンチーライと読んでください。中国語で「思いつく」)「マガジン9条」創刊以来の関わりですが、今は特に担当はありません。関心があるのは、肩こり、眼精疲労、腰痛をどう治すか。北京五輪に行くかどうか、迷ってます。好きな食べ物は、りんごとおせんべい。
アンドレ)
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図案チーム)
デザイン、イラストを担当の4人チーム。マガ9のページデザインには、読みやすさ、明るさ、ばかばかしさ、正直さ、テキトーさを心がけています。
HP:マガジン9条